その後、半年は就職浪人で、工房で自作の発明品を売って食いつないだりしていたのだが…うむ。女子の科学者というのは門戸が狭いのだよ。で、今年度モーリッツ先生の退官後、推薦されて私が教職につくことになった。ただし、次の正式な教員が見つかるまでの代理、としての1年間という契約でな。
幸い、今回の仕事ぶりの評判が国に伝わったみたいで、初の女性職員として某国立機関に就職することに決まった。
改めて、今日まで黙っていてすまなかった。
……あ、大事なのはこれだな。
この指輪は、モーリッツ先生に戴いたんだ。トラブル防止の為に、と。
『娘にプレゼントをやったようなものじゃて。トラブル避けの効果は抜群じゃったの』
[カサンドラの交友関係は教職員ネットワークで筒抜けだった。
その結果――8年生には、うばいとってでもよめにする が居なかったことも。安心安全の指輪であった]