[独りになると、指を組んでその上に顎を乗せて
今しがた齎された情報に物を思う。
卒業後訪れた士官学校で
リエヴルがフレデリカに稽古をつけているのをみたことがあった。
フレデリカにとってもリエヴルは親しい人物であって、
彼女はどんな思いで任務を果たしたのだろう。
指に掛かる力が強くなった。
尤も彼女にそれを命じたのは、公国の上層部であるのだから。
リエヴルの養父母は公国が殺害した。
彼女はただ命令を忠実に実行しただけだ。
その事実を彼が知っていれば。
リエヴルにとって公国は憎むべき親の仇なのだ――]