―外務大臣襲撃事件―[和平へと向かう父の行動を、こころよく思わない者たちがいるのは知っている。国の中にも、外にも。帝国との交渉自体屈辱だと感じるような、極端な思想の持ち主も少なくはない。――馬車を襲ってきた者たちの狙いは、間違いなく父の命だろう。相互理解と話し合いだけで全てを解決できる世の中ではない。だから軍があり、軍人がいる。今の自分は、軍人。戦いを望んではいないけれど、ひとたび事あらば、国のために命を賭けると誓った存在]