旅人 ニコラス

[それでも僕はやらねばならないと思う。

他でもない大切な友人のゲルトが自らの身を呈して伝えた予言に、逆らう選択などなかった。]

でね、最初の占いに僕はシモンさんを選ぶ。
君は知らないかもしれないけど、金髪で右足が義足になっている男性。昨日村へ来たらしい。

[まさかシモンがゲルトの予言を聞いていたとは予想すらしてない―オットーのパン屋にいたところを見られていた>>602ことも―から、外見をざっと説明する。]

僕も旅をしている最中、余所者だって言われて、随分窮屈な思いを味わったからね。彼を人狼だって疑っている訳じゃないけど、この先何かあれば、真っ先に視線が向きそうな気がするんだ。だから――

[ここまで口にして、僕は僕を誤魔化していると内心自嘲した。人狼占いを無意識の内に避けていると。
自信満々なあいつなら、きっとためらわず、相手が誰であっても人狼を占うのだろうけど。]