[――鈍痛。防寒外套の装甲で、一撃で命を奪われるまでには至らなかったのは、男にとっては幸か不幸か。その一撃は死を運んではこなかったのだが、脳を揺らすには十分で……軽い脳震盪を起こした男は、振り向くことはできたもののその場にへたり込むこととなる。血の気が引ききった状態で。その目は相手を捉えようとするが、視界がぶれてそれすらも叶わず。その口は「何故――」と、言葉を紡ごうとするが、うまく動かすことが叶わず。あとはどう処理されようと、男に抗う術は残されてはなかった]