もしも、閣下が公国の凶弾に斃れることがあったら、
……帝国は負けるかな。
[だとしたら、見送った自分の責が問われるだろうか。
問う者もいなくなるかもしれないけれど。]
…せんせいが一緒なら、万が一もない、か。
[浮かんだ疑問の手前で否定材料を見つけ、自嘲ぎみに笑う。
撫でられた髪>>299 に手をやって、視線を遠くした。]
せんせいが、危なくなければ、だけど。
[昔から得体の知れないところがある人だったけれど、
今は底知れないものになっている。
笑みを浮かべない目を思い出して、ひとつ喉を鳴らした。
撫でられて心が竦んだのを、見透かされはしなかっただろうか。]