人狼物語−薔薇の下国

238 奪還試験


闇の精霊 ルートヴィヒ

[されど、己は戦士ではなく、騎士でない。
しんと波打つような死の夜を司る闇精であった。

初撃で切り裂くは空間、刈取るは命の灯火。
幽けし軍馬だけがその危険性に気付いて嘶きを迸らせるが、―――致命的に、遅い。

ギィンッ、と硬い鎧を闇で熔かすように裂いた一太刀。
近接攻撃の届く距離ではないが、物理法則を超え、
断罪の刃は確かに首無しを胴無しに変えた。
彼女を嘲った魔物の一を、刹那で屠り、大鎌を翻す。
白霧の中で靡く黒衣は、自らの手で夜を拡げるよう。

急遽として対する己の力量を把握した残党二匹は濃霧に逃れ、体勢を立て直す。
白靄の中、ゴトン、と重く落ちた音を妻に聞かせ、
三足目も闇で編んだ足場を蹴り、彼女の視界から消えてしまうか。

彼女の足元に蟠る闇影は、歩みを阻むように泥めく靄を散らし。
己の身を案じる献身的な妻に寄り添っていた。>>664]

(675) 2014/08/21(Thu) 22:42:45

SWBBS V2.00 Beta 8++ あず/asbntby