[三人の勇者に二つの桃。
不意にそんな異国の故事を思い出す。ここでこの林檎をどうしたところでどうもしないだろう。放っておけば誰かが食べるなり、忘れたまま置き去られるなりするだろう。それでいい――とは思ったが、つい手を伸ばしていた]
へーか!
[喧騒の中、その声はどこまで通ったか。ほぼ同時に投擲したその赤い実は、少し離れた場所で賑わいの中心にある赤き主の元へと緩やかに山なりを描いて届いていく]
お土産に、どうです?
金の輪>>635なんぞより、意味がなくて面白いんじゃないですかね。
[笑って手を振ると、コップに残っていた金色の液体を一気に飲み干した]