[そこまで一気に捲くし立てると、一つ息を吐いた。]
……お前が公国の大公暗殺に加担したって話も聞いてる。
[この時だけは、声も極小さな物になった。
外に一切漏れぬようにするためだ。
通信機は無論、入室前から切ってある。]
大公だけじゃねぇ。公国王太子と軍務大臣もだ。
シロウ先生の事も、少しは知っていたつもりだ。
それでもお前の…公爵の子飼いだからと見逃していたが。
[実際、大公はシロウ個人の判断で下しただけで、リエヴルは関係ないのだが、そんな細やかな詳細までは知れようもない。
ただリエヴルの密偵が、公国要人を暗殺していた。
それがラウエンブルク公爵――兄が自分に伝えた情報だった。
こちらから見れば、全てリエヴルの責任かのようにも見えて仕方なく。だからこそ胸に残る不信だった。]