[物珍しさ故か、騎士達の興は水精から逸れ、己に注がれる。逃れる同種の行方を一瞥で確かめ、一秒と置かず、立ち塞がる夫の背に視線を戻す。加護を――と振り翳した掌は、寸前で思い留まる。背反の性を具える彼には、無益を過ぎて害を及ぼしかねない] ……ッ、お願い、どうか――…[無理をしないで。傷つかないで。込み上げる懼れが喉を押し塞ぐ。数で劣ろうと、闇の長たる彼が引けをとるとは思わないが、それでも]