[>>638幾度かのやり取りで、己の評価が為されているだろう事は感じていた。
向こうのお眼鏡に適っているといいが、と内心で思いつつも、視線は静かに凪いで。
騎士団のみであれば、来た時と同じく馬を繰って駆け抜ける事も出来よう。
多少の疵を恐れなくば、退却も可能。
けれどこの地には外つ国の知識を積極的に求める場所。
正規の軍よりも頭一つ分以上、技術が抜き出ていても可笑しくはない。
目下、撤退の際の安全保障の要求で推し量るのは、
ジェフロイがどの程度この場を掌握しているか。
やがて彼の言葉を受けて幾人かが集団を離れて何処かに向かい、他の一隊は群衆達に武器を置くように声を掛け。
周囲から人の波が引いて鎮圧軍の退却路が作られた。
――それらの動きは彼らが王都を守護する兵士らと同程度の訓練を積んでいる事を認識させた。
矢張り、ジェフロイは来たるべき時に向けて備えていたらしい。]