[ あまり喋らなかった少年は何かに怯えていたのだろうか。
実験体と同年代の子供を容赦なく殺害し続けた調査隊。
子供が怯えるに決まっている噂を聞きつけたのだろうか。
当時はそう思っていた。]
大人たちって勝手だよね。
自分の都合で好き勝手にして、都合が悪ければ押し付ける。
……ごめんね、愚痴ってしまって。
君はそんな子になっちゃだめだよ?
[ 当時は少年にこんなことを零したりしたのだったか。
少年の心の寂しさ、辛さが魂を伝い入り込む>>*25。
当時は聞くことの出来なかった本心。
この後、僕の失踪を追う者に見つかってしまい
少年に迷惑がかかると離れることになったのだがが。]
ごめんね、お兄さんを追ってくる人に見つかった……。
……もう、僕は君と一緒にはいられない。
これから先、辛いことはたくさんあるだろうけど
きっとその後に良いことがあるから。
だから、どうか無事で……!
[ 彼の無事を必死に願い、別れたのだったか。
そうして、今後僕がムスペルヘイムに行くことは無かった。]