えぇ、聞こえるわ? …宿のお客様? ごめんなさい…全然気付かなくて、私…[聲が聞こえるのかと、たしかにその男性は、そう言った。どういうことだろうか?暫くして、聴こえてくるのは懐かしいヴァイオリンの音色。そう、それは4年前に聴いたものと、全く同じ音――] ――新緑の村の、音楽家さん?[思いの外大きな声が出た。この声を誰か聞いていたものはいただろうか?]