[夜風が頬を撫ぜるのが心地よい。化粧の匂いより、新緑を含んだ木々の香の方が断然好きだ。煽られた金砂色の髪を、そっと片手で押さえる。…と。広がった視界の向こうに、見知らぬ人影が在った。いつの間にか、隣に来客が来ていたらしい]おやん、…どうも。[くつろいだ姿勢のまま軽い挨拶を反射的に返し…此処《社交パーティー》でそれはいけなかったとはたり気づいて、借りてきた猫のように慌てて居住まいを正す]あ、…っと。えーとお初に御目に掛かります。俺は――…