― 宿屋・談話室 ―
[そこに数人の者の姿はあったか
何食わぬ顔でソファに腰掛けるも自重で張り地が沈む事はない。
談笑を楽しむ者の中には弱視の少女の姿があった>>519。]
やあ。
[聞こえる筈も無い聲を彼女に送ろうか。
もしも此方に顔を向ける事があれば、
生前の持ち物であるヴァイオリンをケースから出して]
君は俺の聲が聞こえるのか?
[姿なき者を感じる事ができるらしい彼女へ問いかけを
それが特質であれば良いが、死期が近いからではと邪推する
男の予感は当たるも八卦当たらぬも――といった所だが
的中せねば良いと心の中へ秘めるだけに留め…]