[通信機から聞こえた「声」、名乗られた名。聞き間違いであることを否定したい気持ちもあったが。見たまま、記憶ままの"教官"の姿を見れば片手で顔を覆った。士官学校の旧知とは、どこで出会ったとしてもおかしくはないのだが。そして、もう一人の『猫』―――カサンドラ。『狼』ほどではないが、『猫』の情報はそれなりにあった。先の会議で潜入員の齎した新情報が共有されたことも記憶に新しい。しかし、まさか自分にとっては教官にあたるその二人とこのような形で再び顔を合わせるなど、思っても見なかった。]