ウェントス族のルディ、君の様な古の民が現れるのを私は望んでいた。
[静かに微笑みを浮かべて、男は青年の瞳を覗いた]
王国千年暦の序章は常に君達まつろわぬ民との闘争の歴史。
未だ我々王国は、君達との関係には良くも悪くもぎこちない。
だがね、いい加減にその因縁も是正するべきと私は領主として思う。
然し、闘争を続けた我等との関係の溝は深い。
まるでこの国を覆う、巫女姫の結界の様な関係が我等そのものだ。
だから私は、今回のこの学徒共の騒乱に乗じて。
王国の行く末に一石を投じたいとも考えている。
それが吉と出るか凶と為すか。
戦禍を呼ぶか未来を呼ぶかも保証は出来ないが。
私は、義と利を信じ、動くのだ。