人狼物語−薔薇の下国

238 奪還試験


闇の精霊 ルートヴィヒ

― 霧の沼地 ―

[濃霧の立ち込める茫漠とした沼地、
広範囲に及ぶ湿地帯には、微かながら水の気配。
潰走を選択した水精は、この水量に誘われてきたのだろう。
生来、彼らは清らかなせせらぎや畔に棲まうが、
到底、贅沢を並べていられるような余裕は無いらしい。

慄然を誘う蹄の高い音響を聞き、妻を抱く腕に僅か力を込め。
されど、露呈させるのは同属に対する慈悲ではなく、
愛妻への問いかけを邪魔された億劫げな物憂い顔。]

 ――…おやおや、憐れなことですね。

[肩を竦めて零せば、異形の騎士等も、此方の気配に気付く。
闇黒色にして魔界に馴染む男は未だしも、
抱えているのは魔界において珍しい光精である。
散々玩び、力を削いだ水精よりも狩りの興をそそる獲物。

首のない騎士に関心を与えてしまう様に、ささやかな溜息ひとつ。]

(650) 2014/08/21(Thu) 21:43:17

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