[それから。
ものを考えるより、行動してしまう方がはやい性質だから、
こみ上げる感情を、どうにも抑えきれなかったものだから、]
良かったあ…!!
[駆け寄って、正面から勢いよく、その肩を抱きしめようと。
とはいえ、意識の姿でいたときよりも身体の動きは遅くなるし、
多少はよろめきもしただろう。
避けるのも、振り払うのも簡単だろうから、
その場合は背後のコクーンにでも、ずしゃあっと落っこちる。
ただ、すみません、もしうっかり捕獲されたなら、
どれだけ手加減しても、ヒトとは作りが違う馬鹿力なものだから、
一瞬くらいは、痛い思いをさせたかもしれない。
――もし触れえたなら、回した手は心臓の後ろ側、
確かにある鼓動を確かめるように、あたためるように、少しの間、あてがっていただろう。
土色の眼に安堵がこみ上げて、なんだか、泣いてしまいそうだった。]*