[そして、ウェルシュは8年生に、自分は7年生になった。
それからも、部屋の中にはフェルトの人形が少しずつ増え、紅茶や珈琲の香り、他愛ない話し声、試験前にペンを走らせる音、訪ねてくる友人達の姿、ささやかで暖かな思い出がいくつもいくつも刻まれていった。
いつか、何の予告も無しに奪い去られてしまうのかも知れない。
その不安はリエヴルが去った時から――いや、入学した頃から存在していたのだ。
シュヴァルベという土地の、この士官学校の成り立ちを思えば。
だから、今まで以上にルームメイトとの時間を大切にした。
今まで以上に、学校の皆のために尽くした]