…ってことでおまえがおとなしくしてくれれば―――[いいさしたところで、横合いから飛び出す影が視界に入った。] ―――ヴォルフ!?[咄嗟、エレオノーレを突き飛ばすようにし、自分も飛び退る。林の土の上にひと転がりしたところで、改めて黒狼に視線を向けた。] ………やっぱり、おまえも来てたか。[納得と安堵と懸念と。複雑な色で狼を見るが、後ろに続く赤鹿毛の背にほぼ紅に染まったものが乗っているのを見て、再び目を見開いた。]