― 訪ね人の部屋の前 ―
[途中何度か人にすれ違えば道を確認する。幸い人見知りの性質でもない為、すれ違う者と気楽に挨拶を交わしたり。一週間のここでの暮らしで顔見知りも出来始めた頃だ。そうして部屋の前までくれば]
――
[予め、呪文の準備。足りない魔力を補うよう、ポケットの中に仕込んだいくつかの材料を右手で握り、左手は贈り物をてのひらの上]
―、――
[本当は贈り物のリボンに自分の血の一滴でも落とせばいいのだが、人様に差し上げるものにそんなことはできない。相手は血に敏感でもあろうし。さらに呪文を唱えて胸ポケットに入れておいた鏡を力の増幅に。術を完成させれば、大きく息を吐き]
……。こんばんは。エレオノーレ様、いらっしゃいますか?
[ノックの後、そう声をかけた]