[ 「特に何も」という言葉に少女はどれだけ掬われたか。
でも、少女が少年が別ものと知っても少年を嫌いになれないように、
初めて答えを知っていて訊ねたのかもしれない。この優しい聖霊さまに。
不安げに瞳を揺らしていた少女が安心した様に微笑む姿から、
少女の喩え話しが昔の様に冗談で済む話しではない事を少年は悟ってしまうだろうか。]
そうだね、リズはこれからも神父さまやリデルと一緒に暮らして、
それでね、時々聖霊さまと遊ぶの。聖霊さまのお話を聞いたり、雪兎を作ったり。
カタリナもね、一緒に呼んで………雪合戦したり。
したいな、これからも。
[少女は今までの日常を語る。
神父やシスターと過した日々。少年やカタリナに遊んで貰った思い出。
少女が偽物でも、それらの思い出は本物に違いないから。]