もし大使様が必要があるならば、サシャを一兵卒としてお使い下さい。
土産も持たぬ客人よりは投降兵のようなものでありますので、最前線に駆りだされる事を厭う気はありません。
御隠居殿のように使える力も頭も持ち得ない身でありますが、幸い個で戦う程度の力は軍で鍛えました。
[ シュビトを出て二日目。
気がつく限り追っ手の姿はないが、自分が彼らを追いつけたように他の誰かが一行の存在を把握しているとも限らない。後方からならいいが、先回りが怖い。
御隠居の連れた従者では対処し切れない数が寄せてくれば、戦う必要も出てくる可能性もある。
使者達と異なり、自分は必要な人員ではない。
ただ、その場合の得物は敵から奪うしかないのが悩ましいが。]