― 巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
[>>630 自分の幼稚な質問にもタクマは厭な顔ひとつせず、丁寧に答えてくれる。
彼は昔から優しかった。
領主の記憶のなかでは、ゲオルグおじさんの隣に立ち始めてからずっと、その穏やかな表情を保っていたように思う。
戦場の彼を知らないだけなのかもしれないが、しかし、いつも彼はそうだった。
ウェルシュとしては、おじさんが二人に増えたような感覚である。
―――今も、その柔らかな笑みを浮かべている。]
うん、分かった。
ウェルシュは真面目な顔をして、うんうん、と彼の言葉を噛みしめるように聞いた。
続く要請は、もしかしたら自分にもなにか役割を与えようと、タクマが配慮しただけのものかもしれないが。
それでも、]
……そ、そうかなぁ。
[ウェルシュを少し緊張させた。軍人ですら見落としてしまうかもしれないものを、自分なんかで見抜けるだろうか。
自ずと、ヘーゼルの双眸は水平線を睨みつける。]