― 4年前・図書館の前 ―[新緑に身を包んだ男はベンチに掛け、貸出蔵書の一部である楽譜付きの本を膝に預けながらヴァイオリンを弾いていた。祝いの式に出す曲の構想を行っていた真っ最中だった。文字でしかない旋律を音に乗せれば、勝手に小鳥達が群れる。]……餌は持っていない、どっかに行け[鍔に乗る鳥の数が4(5x1)羽を超えた所で悪態をひとつ。この曲の一節はそれなりに参考になりそうだと収穫を得て。やれ終わりだと弦を下ろしたのは、司書である彼女が丁度立ち寄ったその時だったか]