ああ、生きているよ。全部悪い夢だったんだ。[よかった、といわれて>>582、思わず笑んだ。頷いて、泣きそうな顔をする“少女”の髪を耳にかけてやろうとして、――やめた。泣かないで、と言おうとして口を噤んだ。ごめんなさいを言うべきなのは、そう言う彼女に>>592、男は緩く首を横に振った。首を振り合っているのは、少し傍から見ればおかしかったかもしれない。]