[そうこうしている間にも貴重な血は失われてゆく。自分のことではない。人ならざる身体の治癒力は、何をせずとも受けた刃傷を塞ぎにかかっている。完治とまではいかずとも、死ぬようなことはないだろう。一刻を争うのは紅に染められた銀。衝撃を与えないよう、そっとジークムントを地面に横たえた。橋は冥界との境目ともいう。今の彼にも似つかわしい場所とすらいえた。]