―――…。[すうっ、と息を吸い、小さく、歌声を響かせる。子守唄を思い起こさせるゆったりとした四拍子。「吹雪踊る雪の聖霊の物語」の、冒頭の一節を当てはめれば、>>48そのまま歌えてしまうメロディーでもあるのだがそれはさておき。歌いながら対象――ゲルトの顔を思い浮かべる。数秒おいて、マグカップの上から手をどければ、風もないのに紅茶が波立っているのが見えた。明日また覗きこめば、ゲルトの魂の質が白と黒、どちらかの色となって見えるだろう*]