―その頃、別行動の50騎は―
[騎士団に続く形でシュビトに侵入する形となった南方貴族を中心とした鎮圧軍は、シュビトの中に入った後、学生らに阻まれる。
それに随行していた騎士団50騎は先行した騎士団に合流するか、踏み止まって彼らと対峙するかの選択を迫られる事となる。
おまけに南方の貴族らは何を思ってか、各地に散会する始末。]
「…ったく、やりにくい事この上ねぇな。」
[白銀の甲冑に身を包んだフィオンの盾仲間――レオンハルト・アリプランディはそう独り言ちる。
かつてこの男も学館に身を置いて学んだ身。
シュナウザーが巡視の最中に倒れたのを目の当たりにした事もあり、彼亡き後にはフィオンと同じ情熱でもって医学を中心に学んでいた。
フィオンと同時期にあった隊長になる打診を蹴り、性別を越えて友誼を結ぶ女の隊に所属する事を自ら志願したのは女も知らない事実。
「隊長職は面倒だから」と言って、「不真面目な」と腹に裏拳を叩きこまれて尚、豪快に笑っていられる胆力の持ち主である。]