-回想/ナハティガル副艦長就任直後-
[少し話をしたいと、ゲオルグに時間を作って貰ったのは、ナハティガルの副艦長になった直後だった。]
ようやく此処まで来ましたよ。
[特に隠すような話でもなく、指定された酒場にて。
“此処”と示して笑う。
副艦長の地位なのか。中尉と言う階級なのか。
それとも、傭兵として、医者として、学んできた自分の成果を示していたのか。
自分自身でも分からず、だが、報告のように口にする。]
ナハティガルの奴ら、面白いんですよ。
戦果よりも、“死神を追い払った話”の逸話ばかり俺に聞かせる。
初陣では、たった一人の死者も出さなかったとか。
ここの艦長は一度も戦死してないとか。
機関室近くに直撃食らっても、爆発炎上せず、母港に帰還して、多くの乗員の命を救ったとか。
…もっとも、最後のは、ストンプ製の特殊改造のおかげらしいですけども。