負傷兵 シモン

― 西側：処刑台 ―

［西側の森を歩く。この辺りには、今は殆ど人が来ていないようだ。森を抜けると、少し開けた所に古井戸と、錆びついた金属を取り付けた台があった。――処刑場である。

　正直、意外であった。
　処刑場を作るほど頻繁に人を殺す必要のある事態なんて、一つに決まっている。狼と人が仲睦まじく暮らしたという伝説の残る島でさえ、人狼騒動は起こっていたと言うことだ。］


　そら見たことか。

［やはりこの世で人と狼が共に暮らしていく事なんて無理なんだ。伝説は所詮伝説で、過去の事実の美しい部分しかすくい取ってはくれない。真実はもう少し血生臭く所にあったのではないか。
そこで、図書室に新たしい資料が追加されたのを思い出した。>>596。帰ったら読めていない資料を当たってみよう。］