[言の葉を降り積もらせ、彼女は己の心を満たしてゆく。>>604
明けぬ夜すら照らす陽光如く、眩さを覚えて双眸を瞬き。
微かに乾いた喉が、枯渇を訴えて喉を上下させた。]
幾度でも聞きたい、と無心を唱えてしまうのです。
―――呆れますか? 我が君。
[戯れを緩慢に紡ぎつつ、廊下を抜ければ、鍵の壊された扉を発見。
錆の浮く鋼製の堅牢を、事も無げに肩で押しやり、
抱いた妻を降ろすことすらせず脱出を叶えた。
扉を開く瞬間、曇った気配を滲ませる彼女の顔に、>>605
疑問の色合いを浮かべるが、出しかけた声が音になり損ねた。]