[咎める声に振り向く。シェットランドの上官の声だった]ああ、ゲオルグ少将。忘れておりましたが、これを。[テーブルの上に出されたのは2通の辞令。一つはトール・フォン・ラウツェニング大佐を准将へ任じるもの。そしてもう一つはゲオルグ少将の大佐への降格の辞令だった。表向きは、戦線の膠着による降格になっていたが、無論ゲオルグに過失があったわけではない。ただ、上下を重んじる軍隊のこと。トールに指揮権を握らせたい人間が存在する。これが今回の人事の真の理由であった]