―宿屋→村の中―
[風雪が容赦なく身体を打ち付ける。
しっかりと着込んだコートに口元まで覆うマフラー。
帽子の代わりにフードを深く被れば、見えるのはぼんやり曇るような灰色の目だけ。]
そういえば。
アルビンさんの声を交わす力。
あれってどれくらいの距離まで届くんですか?
……ほら。
うっかり遭難した時とか声が通じるなら助け呼べるじゃないですか。
[歩き出して暫くして、風雪に負けぬよう少し声を張り上げ、問い掛ける。
その声に、アルビンの"能力"への嫌悪感などは含まれない。
むしろ、確認以上の興味が宿っている。]