へえ。同郷に士官学校に居た者が。
士官学校時代の仲間内の細かい思い出まで話すとは、
余程近しい間柄なんだな。
[もっともらしい言葉に納得しつつも、心の何処かに引っかかるものが残る。見た目も、纏う雰囲気も記憶の中のヒンメルその人とは重ならないのに、だ。
しかし、それは今は内に沈めて。
他のルートがあるかも知れないというのにも、同意を示す。
浅瀬を探して果敢に川を渡り、道を切り開いていた学生時代とは違い、今そのようなことを行えば対岸の敵兵の手で蜂の巣だ。現状、浅瀬と知り得る範囲に警戒網を敷く他はなく、それは敵軍としても同じであろう。**]