――シュヴァルベとの出入りも、ということか?
[そう老年の船主に尋ねると、彼は訛りの強い言葉で、それはとても珍しいが、決して無いことではない、と言った。
主に脱走兵や、行方知れずの家族を探して、どうしても逢いたいと遠方より駆けつける者。それらが密かに、船底に匿われてシュヴァルベから出入りする。
補給は陸路を原則としているが、急に兵站が膨れ上がり、糧食が不足しがちな両国は、臨時の措置として近隣の海域から捕れる魚介をも買い上げているらしい。
戦艦が沈んでから、魚がよく捕れるようになった。
そう、船主は笑っていた]