[書庫の多くは、吸血種に関するもの。童話や寓話、恐ろしげな物語や恋物語。そして、嘘か誠か分からぬ歴史まで] 嵐が、来るな[一冊、二冊、三冊と積み上げ、数頁めくると次の山にうつる。やがてベリアンに差し出されたのは、荒れ狂う海の前、両手を掲げる老人が表紙に描かれた一冊の本。開けば、人物と台詞、ト書きが書かれ戯曲だと知れるだろうか。問われれば、普通の小説とは違う、と説明をつけくわえただろう]