― 塔の正面 ―
うぉおおおりゃぁ!
[自身もまたひとつの肉弾となって、土嚢を乗せた肩口から勢いと気迫をぶちかまし――重歩兵を弾き飛ばす。
全力を注ぎ込んで残った勢いで一緒に倒れ込んで、逃しきれなかった衝撃から覚めようと数度頭を振る。
激突で陣形を崩しはしたものの、ダウンを奪った重歩兵以外にもまだ残ってる相手は多い。
それに対処しようとすればとどめを刺している余裕は無い……が、そうすぐに起き上がれるようなものではないだろうから緊急を要しない。
それよりも――]
シロウ――!
……ったく、
[斬り結びに来る重歩兵に長剣を合わせ、受け流し、体勢を入れ替える
そのとき、門を塞ぐ鎧の壁が綻んだ隙間に垣間見えた、並び立てる者の姿と、届いた声。
無事を願い、生還を果たした――彼女にとって2人目の相手となるわけだが、喜んでばかりいられる状況でもなく]