タクマ・ナギ…か。 んん──
[ゲオルグの"翼"かもしれないと挙げられた名を繰り返してみる。
聞き覚えがあるからには、どこかで会うか話題にしているかだ。]
ああ、 ロットケン海将がオルヴァルで取り逃がしたと残念がっていた男か。
半分、沈んだような船で包囲網を突破していったと。
いや、でも、“小鴉”のマルコスが、タクマ・ナギは酔うと自分の船を沈めるんだとも言ってた。
ともかく伝説になる技量のある男らしいな。
おまえの琴線にひっかかるものがあるのなら──確率は低くもなさそうだ。
その男も、おまえみたいな美男で意地悪な策士なのか?
[最後は揶揄う口調で身体を揺らす。]