― 時間は進み就寝前・自室208 ―
[戸締まりと見回りの間に何があったのか、ともあれ男は部屋に戻ってくることができた。
部屋の鍵と窓の鍵を再度確認したのなら、右手にはめていた指輪を外し、サイドテーブルの引き出しの一番下を引っ張って、一番下の引き出しと床の間に入るよう、入念に隠しておいただろう。
ベッドに潜り、寝ようと試みてみたものの。色々な事がありすぎて、中々寝るに寝付けない。
いつもの帰省で行うように、銀の嵐の音を聞こうと、毛布を数枚頭から被り、窓に寄り添い瞳を閉じた。
自宅ではなく宿の一室であったものの――…時計が日のかわりを示す頃には*寝息を立てていることだろう*]