――ッ、は……はは。はははハハハハハハハハ!
[そして、彼らが護ろうとした弟は。
帝国と公国の双方で、幾人かの暗殺を請け負い。
その仕事の最中に、数え切れない程の守備兵や護衛たちを殺して。
最初の1件以外、暗殺任務の度に血に酔い、狂い、必要以上の死体を積み上げた。
最初の仕事――太子殺し――の時には、まだ血に酔っていなかったから、その瞳に変化はなかったが。
二度目の仕事――公国軍務大臣殺し――から、暗殺任務の度に血に酔ったその男の、血の色に染まった瞳を見て生き延びたのは。
戦場以外ではおそらく、ベリアンひとりだけだったろう]