[綺麗にアイシングされた蝙蝠をひとつ摘み上げて眺めれば、思わずくすりと笑声が洩れる。
トールが少女趣味な一面も持っていると知り、彼がますます好ましく愛らしく思えてきた。
だが、残念なことに、コンラートは固形物を食べられない。
昔は、人間のふりをするためにほんの少し食物を口に入れることもしていたように思うが、分身能力を獲得したあたりからだろうか、全く胃が受け付けなくなった。
今では精々が薄い茶か、薄めた酒の類しか口にできない。
だが、そのようなことはわざわざ口に出すようなことではない。
そっと元に戻し、]
ありがとう、ディークと一緒に食べるよ。
きっと喜ぶだろう。
トールにもそう伝えて欲しい。
[感謝の意で、雛に向かって微笑む。]