― ある日の事 ―
[オルヴァル家の一人娘は私兵を連れて、館の二番目に豪華な部屋を訪問した。
扉を開けると丁寧に腰を折るも、背後からなだれ込んだ私兵数名に囲まれ、さすがの母親、オルヴァル卿の夫人も驚いた様子だった。
長年彼女に連れ添った年老いた彼女の乳母が怒りを露わにしたところで、娘の顔はこやかな様子を崩さなかった。]
「ご機嫌ようお母様。
本日お母様をこのように訪問いたしましたのは、
これよりお母様には
オプティモの荘園で療養していただこうかと思いまして。
お心を病んでおられるのですから、仕方ありませんよね。」
[実質的な幽閉だ。乳母が騒ぐ中妹は笑んだままだった。]