[本を愛することを、誰にも――特に王子には知られたくなかった。たとえ、城内で王子が知らぬ事などないと知っていても。最初は誤魔化した。次は脅してみせた。その次は――溜息をついて、本を読み始めた。辞書やらなんやら、何処だと聞かれれば顔もあげずに答え、話しかけられれば答えもするようになった。溜息だけは、今でもついているがそれ以外は、諦めだ]