わたしの好きだった人、アルビンさんにそっくりな商人だった。
人間だったの。でも、好きになった。
彼は毎日会いににきてくれたわ。
でも、ある日わたしを捨てたの。他に好きな女ができたと言って。
わたしは、最後に別れを告げたいと、彼を呼び出したわ。
そして、彼を抱いて、冬の海の沖合に連れ出した。
人間には、冷たすぎる水の中で、彼はゆっくりと動かなくてっていったわ。
最期を見取るのは辛くて、ぐったりと意識を失った彼を小島においてきた。
もしかしたら、生きていたりするのかしら。
いえ、そんなことないよね、きっと。