(こっちに行って…)
[馬から降りていたウルフライダーの繰り出す槍を伏せてかわし、そのまま片手で掴み、起き上がる事も無く、手繰り寄せるように身体を前方へと運ぶ。距離を詰められた相手が槍を捨てるか、腰の剣を抜くか迷うその瞬間――]
――――。
[残った片手、逆手で握っていた短刀をその喉元へと縫い込むように滑らせる。
鼻先にまで届いた吐き出された獣臭い息が、噴射する血の臭いに掻き消される]
(次はこっちに…)
[その馬の背に駆け上り、そこからそのまま、近くに居た別のウルフライダーの背中へと飛び移る。背中にしがみつくように乗り移ったその時には、そのウルフライダーの眉間にも短刀が深々と突き刺さっており、すぐさま引き抜けば赤い花が咲き、咲いたままのその背中を押して馬上から突き落とす]