羊飼い カタリナ

　う…この人は

［　先の談話室で相対した旅人だったのはすぐ分かった。
　　差し込む月光によって鈍く光るステンドグラスに
　　照らされてどこか満足気に微笑み事切れている男
　　それは、ある種芸術品かと思うくらいに崇高で
　　完成された美を醸し出していた。
　　立ち込める死臭さえなければ…だ。

　　そっと近づいて彼の亡骸を凝視してから
　　傅いて十字を切った。

　　目にする物はあった。思うこともあった。
　　だがそれらには一切触れず考えず私は踵を返す。

　　今安堵していたことに罪悪感を覚える。
　　��あの子�≠ｶゃなくて良かったと
　　彼の亡骸を前にそう思ってしまった私が
　　酷く醜い生き物に思えてならなくて
　　彼から離れたかった。
　　だから足早に出ていこうとして……それを見つける
　　見つけてしまう　］