[リエヴルの視線に気がつき、車椅子の向こうを見れば。そこには彫刻のように立ったままのギィと片付ける最中のソマリがいて、反射的に彼にも深く頭を下げた。]あの……――っッ[>>0:559もしかしたら彼がリエヴルを屋根の下まで運んでくれるのかも知れない。そう思って顔を上げた途端、中庭に風が吹き付ける。]――……[赤い薔薇の花弁が舞う中、灰色の庭を後にして立ち去る背中にかける言葉が見つからないまま。森の方角へ消えていくその背を見送ることしか出来なかった。]