[話をしよう。子供の頃の話を。
いくら村に子供が少ないからといっても、
何歳か歳の離れた面々は“おにーさん”“おねーさん”という思いが先に立って、
なかなか気の置けない付き合いはできないものだ。
そんなクララにとって、同い年であるペーターはまあなんというか、
友人と呼べる貴重な存在であった。
とはいえかたややんちゃ盛りの少年、かたや本の虫の少女。
一緒に遊ぶことは意外と少なく、すぐに思い浮かぶ幼少の記憶といったら。
フリーデルに何らかのトラウマを植え付けられたペーターを、
一歩引いた目線で慰めている図だった]